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そっと抱きしめると彼女はくすぐったいと笑う。
だからギュッとすると背中に手が回り彼女も抱きしめてくれる。
淡い桃色ではない、鮮やかな桃色の真っすぐな髪が風とともに舞う。
「暖かいわ」
彼女はそう言って擦り寄ってくる。そんなところが可愛いとおもう。
「ミーアは幸せ?」
「幸せよ?何故?」
何でもないと言う。彼女が幸せなら。
いつまで守ってあげられるか……わからないから。
「アスラン。私は幸せよ?あなたと居られて」
「俺もだよ。ずっと傍にいるから」
だからずっと傍に居てと言うと彼女は俺の頬撫でて、綺麗に笑った。
俺には彼女しかいないから、もう彼女しかのこされていない。
*****
私は幸せ。アスランと一緒に居られて幸せなの。
もうアスランだけが私を必要としてくれるなら、何もいらない。
ラクス・クラインの名前も、名誉も。
彼の差し延べた手をとってよかった。
ぼろぼろなアスランには私しかいない。
私と彼の乗ったグフはあの新型に墜とされてしまった。
アスランは裏切り者、私はラクス・クラインの偽者として。嘘偽りは無い。
アスランは議長の考えに疑問を覚え脱走した。
私は元から偽者。
裏切り者と偽者。
何とでも言えばいい。
運よく助かって、この島の漁師に助けられた。助けられる前に覚えてるのは、必死に私を抱き抱えて泳ぐ血まみれのアスラン。
頭から、腕から、口から血が溢れては海に溶けていくのが鮮明だった。
あれから何ヶ月かたった。戦争はオーブの、本物のラクス・クラインとアークエンジェルが終わらしたらしい。
でもどうでもいい。棄てられた私たちには。
誰も私と彼が生きてこの島にいるなんて知らない。
知らなくていい。知らないで。
どうせ私も彼も長く生きれないのだから。
私を庇って大怪我したアスランを治療するのに、この島の小さな診療所では無理だった。
外の傷は治ってきても内の傷は治らない。
だから彼は永くない。
裏切り者の末路だと彼は言った。だから私は、彼が死んだら自分も死ぬと言った。
「偽者の末路よ?」
そう言えば彼は綺麗に微笑んだ。
「あっラクス様」
「本当だ」
小さな家は診療所の医師が与えてくれた。彼だけに訳を話した。そしたら心よく迎え入れてくれた。
ここでひっそり暮らして活きなさいと言ってくれた。
小さなテレビの中にはラクス様が映っている。
それを、まるで人事のように見る私とアスラン。
「あっ………」
ふとアスランが声をあげる。
「どうしたの?」
「知り合いが……よかった、生きてたんだ」
「へぇ、なんか知り合いがテレビに映ると嬉しくなるわよね」
苦笑するアスランに擦り寄る。
するとアスランはそっと抱きしめてくれる。
「くすぐったいわ」
ギュッと彼がするから可愛くて、細い彼を抱きしめ返す。すっぽり入ってしまうのがおもしろい。
窓から入る風が心地良い。
「暖かいわ」
アスランの体温が心地良い。風なんかよりも。
「ミーアは幸せ?」
「幸せよ?何故?」
不安そうに私の顔を覗き込む彼。
決まってるじゃない。
「アスラン。私は幸せよ?あなたと居られて」
「俺もだよ。ずっと傍にいるから」
棄てられた捨てられた私たち。
どうか見つけないで。見つけても待ってるのは悲しみだけ。
彼のために知らないで。見つけないで。
でも忘れられるのは怖い。
そこに僕らはいないんだ
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